piece of sky


誰かが
それを
呼んだ
 
そら
 
誰かが
それを
見つけた
 
見えないような
見えるような
広がるような
包むような
じっとしているような
うごいているような
さわれないような
さわれるような
とおいような
ちかいような
 
日が降る中で目を閉じて
月降る中で目を閉じて
みえないそれをみようとした
なにかが触れて過ぎていった
どこまでもどこまでもつづく
みえないそれをみようとした
どこまでもどこまでもちかく
ここによりそっていてくれた
いつもくっついていてくれた
はなれることはできなかった
 





私の足が柔らかな枯れ葉の海を踏む、その前に
私の花が生まれていた
紅色野薔

私の手が空を結ぶ樫の木に触れる、その前に
私の花が生まれていた
白雪野百合

私の羽がコマドリの声を追いかける、その前に
私の花が生まれていた
甘い忍冬

私の足が星の苔をなぞる、その前に
私の花が生まれていた
蜜降る針槐

私の髪が時計草の時に絡まる、その前に
私の花が生まれていた
時を打つ一輪草

私の背中を帚星が撫ぜる、その前に
私の花が生まれていた
変わらぬ誠ニオイアラセイトウ

私の頭に載せたシロツメクサの輪の、その中に
無限の宇宙を開き
空の畔で
魂の花を探すと誓い
向う未知

茉莉花、アヤメ、山藤、桜、
先々に誘う花畑回り道
歩けど進まず
戻る道は星と消え去り
荒れ野に佇めば
果てなく深い蒼の帷に震える
小夜啼き鳥

ひとり泣き濡れる茜野原
合歓の木の下に眠り
小舟漕ぎ出す夢見る頃
瞼に降る花の呼び声を聞く

目を開けてお前の手の中を見よ
昼より白く
夜より黒く
光る花
こよなき夢よ
永劫の花
お前の花よ